今年6月から始まるテレビアニメ「ドラえもん」のアメリカでの初放送に先駆け、OriconStyleのウェブサイトが変更点について発表した。Disney XDチャンネルは日本の代表的なロボットキャットアニメを26話放送する予定だ。このアニメはアメリカの文化や慣習と暴力描写・差別描写・性的描写への厳しいガイドラインに適合するように変更が加えられた。
アメリカ版では舞台は日本からアメリカの架空の場所へと移された。ロボットキャットのドラえもんは変わらずドラえもんだが、その所有者である「のび太」は"Noby"に、いじめっこのジャイアンは"Big G"に(オリジナルの「ジャイアン」という名前は英語のGiantの言葉遊びである。)
そして捻くれた少年のスネ夫はSneechという"sneer(冷笑する)"という言葉を連想させる名前になった。
ドラえもんを象徴する秘密道具は文字通りに訳された。例えば魔法の出入り口のどこでもドアは"Anywhere Door"に、空飛ぶ奇妙な道具のタケコプターは"Hopter"に、暗記道具の暗記パンは"Memory Bread"に、空気砲は"Air Cannon"に、ほんやくこんにゃくは"translation gummy"となった。最近の漫画の英語版でも同じ名前が使われている。
画面上の編集も行われた。例えばオムライス(オムレツと米)はパンケーキに、箸はフォークに変えられた。
日本円はUSドルに。テストでの日本のチェックマークは×マークに置き換えられた。そして0点であることを分かりやすくするため、Fの字が追加された。
あるエピソード(変身!ドラキュラセット)で使われていたバンドエイドは消え、代わりにピザが描かれた。
「走れ馬竹」のエピソードではのび太の涙が消えた。
日本の看板、例えば「剛田商店」は"Goda's Shop"となった。「ドラエモンの100年タイムカプセル」ではカプセルに入れる中身が変わっている。
他にも石焼きイモ(石で焼いたスウィートポテト)がポップコーントラックに変わった。食べ物の変更点は他にもドラ焼きなどのおやつの登場機会が減り、果物が増えた。子供番組として健康的な食事を推進するための配慮である。
オリジナルではドラえもんは耳を失ったためによく他人にタヌキ(日本語のラクーンドッグ)と間違えられ怒っていたが、日本以外の国では日本での伝承と違いラクーンドッグは丸くなく、太ってもいないため、英語版ではアザラシに間違えられるようになった。
アメリカ独自のオープニングは日本語版の映像に忠実だ。物語の前提知識を伝えるために、「なぜドラえもんが未来から来たか?」を説明するナレーションが追加されている。
テーマソングや、他の歌、サウンドエフェクトはアメリカの子供に分かりやすいように変更されている。セリフも直訳ではなく、面白さと会話のリズムのために変更されている。
しかしジャイアンの悪名高い「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」というキャッチフレーズはほとんど変更がなく"What's mine is mine. What's yours is mine!"となっている。
漫画の作者である二人組 フジコフジオ(ヒロシ・フジモトとモトオ・アビコ)は1969年にドラえもんを作った。そのストーリーは、未来の少年から現代の救いようがない祖父、のび太を助けるためにロボットの猫が送られてくるというものである。ドラえもんとのび太と他の子供たちは日常的な子供時代の問題をドラえもんの四次元ポケットから現れる道具を使って解決し(あるいは引き起こしたり)ながら時間や宇宙を越えて冒険していく。
著作権を持つ日本の3つの会社、テレビ朝日、フジコFフジオプロダクション、TVアサヒのアニメスタジオのシンエイアニメーションがアメリカのスタジオと契約しプロデュースしている。
1973年から始まった日本でのテレビアニメ初放送に加えて一年ごとのアニメ映画も製作されている。今年はタカシ・ヤマザキ(リターナー、Always:三丁目の夕日、Ballad、宇宙戦艦ヤマト)とリュウイチ・ヤギ(うっかりペネロペのラインディレクター、もやしもんのCCディレクター)がドラえもんの初3DCG映画、Stand By Me ドラえもんの製作を指揮している。
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